トヴェーリ州・トルジョーク Торжокでは、13世紀から金や銀の糸を使った刺繍が作られていました。
これがトルジョーク金糸刺繍 Торжокские золотошвеиです。
2010年のノヴォトルジク考古学調査によって、
1238年に隠された宝物の中にあった、衣類の断片に金と銀の糸の刺繍が発見されました。
【左】発掘場所から出た金糸刺繍。聖画が描かれています。 【右】発掘された場所
初期のころは主に教会装飾用に用いられていました。
イコン(聖画)や、聖職者の衣装や備品などにこの美しい刺繍が使われていたのです。
現代もののトルジョーク刺繍のイコン(聖画)
その美しさから次第に王侯貴族たちの衣装の装飾に使われるようになりました。
1855年のアレキサンドル2世の戴冠式には王室の人々の衣装はもちろん、
メイドの服に至るまでこのトルジョーク刺繍が使われたのです。
戴冠式の様子。キラキラ✨です。
クレムリン内武器庫に展示されている、
マリア・アレクサンドロヴナ(皇帝アレクサンドル2世の皇后)のドレス。
トルジョーク刺繍の全盛期は、18世紀後半から19世紀前半にかけてで、
19世紀後半になるとファッションが変化し、高コストの金糸刺繍の需要は減少しました。
しかしながら、1882年にモスクワで開催された全ロシア工芸品展では、
トルジョーク金糸刺繍は大評判となり、この美しい伝統工芸を守るため、
D.D.ロマノフによって、トルジョークに刺繍と縫製工場ができました。
【左】D.D.ロマノフ 【中】作家が刺繍しているところ。 【右】刺繍学校の授業の様子。
1911年に工場内に博物館が設立、1923年に職業訓練校が設立され、
トルジョーク刺繍はその美の伝統を後世の人たちに受け継いでいったのです。
現在のトルジョーク刺繍博物館の様子。詳しくは----->こちら
ソ連時代には、軍のワッペンやバッジなどが刺繍を用いて作られました。
そして現在―――――――――――
洋服はもちろん、バッグやポーチ、スカーフなどに美しい金糸銀糸刺繍を用いた作品が作られています。
最近ではイコン(聖画)の製作も復活しているそうです。
プーチン大統領は、フランシスコ・ローマ教皇のお土産として、トルジョーク刺繍の教会画を送りました。
トルジョーク金糸刺繍は5~8パーセントの貴金属を含む糸で刺繍されています。
その伝統的な手法は、
まず、千枚通しのような専用器具で所定の位置に小さな穴を開けます。
金糸や銀糸、絹の糸を下から、開けた穴に通し、刺繍していきます。
最近は手作業ではなく、機械を使ったものが多くなりましたが、
その美しさは色あせてはいません。
トルジョーク金糸刺繍 シルクポーチ <花模様> 14×22×2cm 【販売ページ】
濃淡2色の金糸と、カラフルな絹糸で刺繍。スパンコールもついています。
トルジョーク金糸刺繍 ベルベットポーチ <石の花> 13×18.5×3.5cm 【販売ページ】
金糸とトルコブルーの絹糸で、ロシア民話「石の花」をイメージした花が刺繍されています。
トルジョーク金糸刺繍 シルク手提げバッグ <優しさ> 20×18.5×3cm 【販売ページ】
このシルク手提げバッグは濃淡2種類の金糸で花模様が刺繍されていて、
ところどころに小さなスパンコールもあしらわれています。
「シアター・バッグ」という名前もついている、持ち手があるバッグ。
劇場で身の周りのものを入れて、ひじにかけて颯爽と持ちたいですね。
トルジョーク金糸刺繍 シルクポシェット(外ポケット付き)<ヒルガオの花> 19×22×2cm【販売ページ】
このシルクポシェットは濃淡2種類の金糸で
ヒルガオの花をモチーフにした模様が刺繍されています。
刺繍部分がフタになっていて、開けると大きなポケットが登場。
ヒモがついているので肩にかけたり、斜め掛けしたりでき、
内側に2ヶ所のポケット、外側に大きなポケットがついているので便利です。
伝統工芸であるトルジョーク金糸刺繍を使ったバッグやポーチを持って、
優雅な気分でおでかけしてみませんか。